2015年8月27日

新ステージの防・減災対策/国・自治体・建設業で包括協定

【2016年度の重点対策を正式決定】
 国土交通省は、大規模地震や水害といった自然災害への対応を充実・強化する。首都直下地震の発災時における災害対応力の強化を目的に、道路啓開などの初動対応で密接な連携を求められる自治体や日本建設業連合会との包括協定の締結を進めることに加え、1月にまとめた「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」を受けた取り組みとして、本省に「壊滅被害回避ワーキンググループ」を設置。省を挙げて、大規模水害による社会経済への壊滅的な被害を防ぐための対策を練る。
 26日に開いた南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策本部と水災害に関する防災・減災対策本部の合同会議で、2016年度の重点対策を決定した。南海トラフ巨大地震、首都直下地震のそれぞれに対応する重点対策を打ち出す一方、1月にまとめた「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」を受けた対策を実行に移す。
 ■首都直下地震
 インフラの緊急復旧を念頭に関係機関との連携を強化する。燃料の確保を目的に石油連盟や全国石油商業組合と燃料供給に関する協定を締結する一方、引き続き、地方整備局を中心に自治体や日本建設業連合会の各支部との包括協定の締結を進める。連絡体制の確保や事前準備に万全を期すことで災害対応力の実効性を高める。
 また、初動対応の柱となる“8方向作戦”による道路啓開を補完するための仕組みとして「緊急時河川活用計画」の策定を急ぐ。河川敷道路や船着場、立体交差橋梁の接続道路など既存施設を効果的に活用することで啓開ルートをつなぐ枝線を構築。結果として、物資輸送や救助に向かうためのルートを多重化することが狙い。既に緊急時計画を策定している荒川を例に16年度に江戸川、多摩川、鶴見川で緊急時計画を策定する。
 ■南海トラフ巨大地震
 被災によって着陸予定の空港が使用できなくなった場合でも、飛行中の航空機を安全かつ効果的に着陸させる「緊急ダイバート運航総合支援システム」を16年4月から本格運用する。これまで人が行っていた作業をシステム化することで、首都直下地震や南海トラフ巨大地震によって、羽田空港と成田空港が同時に閉鎖(被災)した場合でも被害状況や航空機の残燃料などから航空機ごとに最適な代替着陸空港を即時に選定することができるという。
 また、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)からの被害情報など災害発生時に提供される膨大な被害状況とその画像を電子地図上に自動的に落とし込む「統合災害情報システム(DiMAPS)」を活用して災害対応の高度化を図る。自治体が広域的な被害状況を把握できるようにDiMAPSによる情報提供を行うことに加え、内閣府の総合防災情報システムと連携させることで政府全体での対応スピードを上げる。
 ■大規模水害
 「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」を受けて、現状の想定を超える最大クラスの外力(降雨)への対応を視野に防災・減災対策の充実に取り組む。本省に「壊滅的被害回避ワーキンググループ」を設置して、社会経済への壊滅的な被害を回避するための対策を練る。地方整備局が中心になって企業へのヒアリングを行うなど、企業活動が停止に追い込まれる急所となるインフラを洗い出すと同時に、そうした弱点となるインフラへの優先的な対策を急ぐ。
 改正水防法をベースにした地下街などへの浸水対策の強化に加え、住民避難に着目した対策ツールとして全国的な注目を集める「タイムライン」(防災行動計画)の全国展開を進める。鉄道事業者など20機関(37部局)が参画した関係者一体型のリーディングプロジェクト「荒川下流タイムライン」を軸に全国の各ブロックで検討をスタートさせる。