2015年5月27日

安房を“東京のコバンザメ”に/富津に首都圏第3空港を/亀田信介 鉄蕉会亀田総合病院院長

東京周辺の県では、人口が増えている地域があるものの、高齢者の絶対数は多い。特別養護老人ホーム、医師、保育所不足など、課題は山積している。一方、人口が減少している郊外では、学校を始めとする公共施設の再編が急務となっている。千葉県鴨川市を中心に房総半島南部の安房地域で医療・福祉・介護・教育事業を手掛ける亀田グループ。その中核施設である鉄蕉会亀田総合病院の亀田信介院長に、地方創生に対する考えや、安房地域の今後あるべき姿、グループでの取り組みなどを聞いた。
--地方創生をどうとらえるか
 「日本は世界のどの国も経験したことがない急激な人口減少社会に突入するとともに格差社会に突入する。その中でGDP(国内総生産)は落ち、貧困化が進み、多くの地方自治体は消滅していく」
 「東京は子育て、介護など多くの混乱が生じている。日本を守るためには大都会、特に東京を守らないといけない。そのためには大都市の問題を解決できる田舎を残さないといけない。だが、いままでのように横並びに予算を付けていてはできない。地方創生とは『えこひいきしますよ』という制度だ。だから今後は大都市に都合の良い田舎、もしくはすごく特徴のある都市国家のような田舎だけが残る」
--そのような中でこの地域はどうあるべきか
 「東京湾アクアラインから茂原までを結んだエリアを1つの基礎自治体にまとめ、“千葉県南東京市”をつくることが必要だ。そのコンセプトは『東京に都合の良い田舎をつくる』だ。東京という大都市と、世界の人口の半分を抱えるアジアの両方をターゲットとする必要がある。東京に対しては移り住む人を地域に溶け込ませる地元参加型のコミュニティーをつくり、アジアに対しては医療福祉や介護というグローバルに勝負できる宝がある」
--東京に対して必要なまちづくりは
 「これからは定年がなくなり、健康な人は自分の趣味や時間を持ちながら、その年齢に合わせて働き続ける生き方になる。安房地域なら、アクティブリタイアメントやセミリタイアメントの人が移り住むには東京からの距離がちょうど良い」
 「ただ、東京を離れる上で子どもや孫がしょっちゅう来てくれるかが不安となる。そこで、例えば地域が参加して春は田植え、夏は定置網漁、秋は稲刈りといった具合に2カ月に一度訪れる体験型の年間パスをつくり、10万円で移住者に売れば、その子どもや孫が来る。農家の人たちも収入が得られ、モチベーションや生きがいになる。こういう仕掛けをつくっていくことで、移住者と地域が触れ合える」
 「さらに基礎自治体の人口は50万人以上とすることで、県をなくし二重行政を解消する。そうすることで公務員を大幅に減らし、若者を生産の場に回していけば、プラスマイナスで圧倒的に他地域と差別化できる」
--さらなる構想としては
 「首都圏は実質的に1.5(羽田1、成田0.5)の空港しかなく、第3空港が絶対必要だ。羽田の管制空域を外れる地域で、東京からの距離感を考えると富津にしかつくれない。アクアラインはもう1本トンネルを通すことができる造りになっており、羽田と第3空港をリニアモーターカーでつなぎ、空港周辺にはリタイアメントハウス、都内では難しい5000人規模のリゾートコンベンション施設、ディズニーワールドやUSJのようなアミューズメントパークを誘致することで、“東京の困った”を1つずつ解決する、“東京のコバンザメ”になろうというのが戦略だ」
--亀田グループで手掛けている取り組みは
 「若者が住みやすい街にするため、鴨川市に子育て支援センターを来年オープンさせ、24時間365日保育や勉強のサポート、シングルマザーのための夕食提供までする。館山市につくった安房医療福祉専門学校は、やり直しのきく社会をつくろうと定員の40%に社会人経験者を受け入れている。私の仕事は1つずつ事業をやり、モデルとして認めてもらえるものをつくっていくことだ」
◆プロジェクト/むつざわスマートウェルネスタウン/道の駅と住宅整備
千葉県睦沢町は、「道の駅つどいの郷むつざわ」(上之郷2048-1)を移転・拡充するかたちで、同施設周辺に「むつざわスマートウェルネスタウン」を整備する。農業の6次産業化(生産、加工、流通・販売)型の道の駅と、地域優良賃貸住宅制度を活用した住宅を建設する計画。道の駅にはレストランや温浴施設、農産物販売・加工施設、休憩・情報発信施設、防災倉庫、住宅は27戸の戸建て住宅や14戸の集合住宅を設ける。官民連携手法による施設整備を模索しており、2019年度の開設を目指す。
 事業手法は、14年度の調査でBTO(建設・譲渡・運営)方式のPFIが最適であるとまとめている。事業化に向け、6月29日-7月10日にはPFI法に基づく民間提案を受け付ける。
 また、今後の拡充計画が評価され、ことし1月には国土交通省に「重点道の駅」に選定されている。
◆プロジェクト/五霞IC周辺地区土地区画整理事業/商業・工業・流通拠点形成
五霞町五霞インターチェンジ周辺地区土地区画整理組合(茨城県五霞町、橋本由郎理事長)は、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の五霞インターチェンジ(IC)周辺の約37.1haで土地区画整理事業を進めている。4月には造成工事に着手しており、2018年度内の完了、19年9月の解散を目指している。
 IC周辺というポテンシャルを生かし、商業・工業・流通など新たな複合型産業拠点の形成を図る。施行区域のうち、企業誘致用の宅地・保留地として約24.9ha、公共用地(道路、公園、緑地、調整池など)として約10.2haを整備する。総事業費は約45億円。区域内には、五霞町が運営する「道の駅ごか」が立地している。
 業務代行者には、清水建設とエム・ケー(東京都日野市)が参画している。
 五霞ICは3月29日に開通しており、15年度内には圏央道の県内区間が全通する見通しだ。