2014年9月1日

防災白書 共助による地域防災力を強化

内閣府の2014年防災白書は、「共助による地域防災力の強化」を特集している。内閣府の防災に関する世論調査などのデータから、自助、共助、公助の共助に焦点を当てて、地域防災力強化の方向性について検証したもの。地域コミュニティーにおける自助、共助の「ソフトパワー」を見直し、これを効果的に活用することが、首都直下地震、南海トラフ地震などの被害を少なくするために不可欠だとしている。
 こうした特集がまとめられた背景は、東日本大震災において、行政のトップや幹部などが被災し、機能麻痺に陥り、「公助の限界」が改めて明らかになったためだ。さらに、振り返って、阪神・淡路大震災でも、地震によって倒壊した建物から救出され生き延びることができた人の約8割が、家族や近所の住民などに救出されている点を指摘している。
 東日本大震災では、岩手県大槌町の町長を始め、幹部や職員が津波によって死亡するなど、本来被災者を支援するべき行政自身も大きな被害を受けたため、自助、共助による活動に注目が集まった。
 「釜石の奇跡」と呼ばれた岩手県釜石市市内小中学生がほぼ全員助かった事例は、この自助、公助を象徴する事例としてコラム的に取り上げられている。ここでの防災教育は、「想定を信じるな」「最善を尽くせ」「率先避難者たれ」の津波避難3原則だ。
 児童の中には、自宅にいた祖母を介助しながら避難したり、津波の勢いの強さを見て周りの人たちとともに、指定避難所よりさらに高台に避難する例もみられた。地域コミュニティーの人々の中にも、こうした小中学生の行動の影響を受けて一緒に避難して助かった人もいた。
 内閣府がことし実施した「防災に関する世論調査」では、「公助に重点を置くべき」という回答が02年の調査に比べて16.6ポイントの大幅減となった。一方で、「自助、共助、公助のバランスが取れた対応をすべき」という回答が18.9ポイントの大幅な増加に転じた。
 同年の内閣府の調査「地域コミュニティーにおける共助による防災活動に関する意識調査」によると、防災活動に参加しているか、していないかについて、地域コミュニティーにおける一般的な地域活動(地縁活動)を行っている人の方が防災活動に参加する割合が高かった。
 地縁活動と防災活動との関係は深くなっており、地縁活動の活性化が防災活動の活発化につながり、それが地域防災力の強化にもつながると思われる、としている。
 同じ調査で、自助、共助、公助をそれぞれ「人・組織」「モノ・金」「情報」の3つの要素に分類し、地域の防災活動の活性化のために必要なものはどれかを質問した結果では、共助の「人・組織」が48.1%で最も必要だと考えられていた。次が、公助の「情報」で37.1%だった。
 このため、地域コミュニティーにおける防災に関する人・組織がしっかりしていること、また、行政などにおいて制度や支援に関する情報をしっかり発信することが求められていることがわかった。
 事業者と地域の連携・共生の重要性も指摘している。
 内閣府の14年調査「13年度企業の事業継続及び防災の取組みに関する実態調査」では、企業における地域コミュニティーとの協力内容を聞いている。
 それによると平時からの連絡体制構築(32.3%)、災害時応援協定の締結(28.9%)、平時からの協議会等設置(15.3%)が上位にあがっている。今後も、事業者と地域住民との連携・共生の促進が、地域コミュニティー全体の防災力の向上につながっていくとみている。
 特集の最後では、14年の災害対策基本法改正で、「地区防災計画制度」が創設されたことに触れている。同制度は、市町村の一定の地区の居住者および事業者(地区居住者等)による地域コミュニティーレベルでの防災活動を促進し、ボトムアップ型で地域防災力を高めるのが目的。計画は地区居住者が自発的に策定する。この計画に基づき、居住者と行政がしっかりと連携していく必要性を指摘している。