2014年4月21日

レジリエント社会研究C発足/異分野融合を推進/埼玉大

埼玉大学は17日、レジリエント社会研究センター(センター長・田中規夫環境科学・社会基盤部門教授)の発足式をさいたま市の同大キャンパスで開いた。防災、環境、社会基盤を対象にした“真のレジリエント社会”の構築に向けた研究を開始する。理工学科を中心に、文系教授も参画する「文理融合型」の研究で大学のポテンシャルを最大限に発揮し、国際社会貢献までを見据えた活動を展開する。

 同センターは、レジリエントな社会を構築するため、▽災害前の備え(pre-risk)▽災害時の対応(on-risk)▽災害後の復旧(post-risk)--の3つの概念を前提に研究を進める。
 現時点では、研究テーマとして、▽危機段階に応じた最適避難手法とルート選択の技術▽自然を通じた防災意識の長期的社会意識醸成手法の構築(教材開発を含む)▽災害後の回復を早めるための災害・物流動態解析システムの構築▽発展途上国に適した減災技術の構築▽医療機関との連携による技術開発▽災害対策施策の優先順位付け、合意形成のためのレジリエンス政治学構築--の6項目を想定。
 国内の防災、減災、レジリエンスに関連した先駆的な活動を取り入れたプロジェクトや、水工学と交通工学など異分野融合型の研究に力を入れる。また、水圏生態環境におけるレジリエンスシステムの研究、国土交通省や地方自治体との研究プロジェクトも想定している。
 冒頭、田中センター長は「行政目標として使われている『強靱化』の概念は、必ずしも減災や復旧・回復力までを含めていない」と災害後の取り組みも重視する必要性を指摘した上で、「社会基盤整備だけでなく、リスク発生前後の行動、政策、普段の生活様式も含めた研究を進める必要がある」と方向性を述べた。
 山口宏樹学長は、「国立大学が法人化して10年、大学がこれから何を考え、どう進むのかをしっかり示さなければならない時期にきた。文理融合の研究により有意義な人材の育成に取り組みたい」とあいさつした。
 客員教授の岩崎康夫埼玉県副知事、渡邉邦夫埼玉大名誉教授、室野剛隆鉄道総合技術研究所鉄道地震工学研究センター長に辞令を交付した。
 基調講演では、室野客員教授、渡邉客員教授、西田幸夫特任准教授、松本正生教授(埼玉大社会調査研究センター長)が、各専門分野の視点で捉えたレジリエンス社会のあり方を講義し、出席者で共有を図った。