2014年3月26日

寄稿・徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部准教授 滑川達氏/環境整備でフェアなルールづくり

若年労働者の減少や社会保険加入問題、地域建設業の経営環境など建設業の山積する課題を解決するには、奇をてらわず、粛々と対策に取り組むしか方法はありません。

 社会資本整備では、かつての全国総合開発計画(全総)のように、10-15年といった長期的なスパンの計画が必要だと思います。「何を造るのか」「いかに造るのか」というビジョンがなければ、一時の事業費や事業量の増減により、担い手となる建設企業に経営面などで影響を及ぼすでしょう。長期的な計画を基に、単年度会計から複数年度会計に移行し、発注の平準化を図り、経営を安定化させ、雇用を図る--という好循環を確立させることが必要です。
 入札制度を研究する中で、感じていることは、競争する条件や環境が整った上での公平な競争と、その条件や環境が崩れていく競争は違うという点です。真面目な企業が損をせず、技能労働者の生活環境や労働環境を意識したフェアなルールづくりが求められます。
 競争する条件や環境の例として、社会保険の加入が挙げられます。2017年に社会保険加入が義務付けられますが、過渡期といえる今は、加入から脱落する企業をなくすための制度設計が必要です。建設企業の経営の安定化を図るなど、加入できる環境を整えた後、義務化していく姿が望ましいと思います。人を雇用し、建設機械を保有する企業を評価することも大切です。
 これらは保護政策ではなく、競争を行うための条件整備だと考えます。設計労務単価についても行政と業界、学識経験者を交えて、働く人々の生活が成り立ち、良質な雇用を生み出す適正な価格を設定することが重要です。
 最近、「建設業の必要性や重要性が理解されていない」という声もありますが、国民は十分に理解しているはずです。ただ、職業として選択する場合、魅力が少ないということで、若年労働者の減少につながっているのだと思います。決して楽な仕事ではないが、一生懸命頑張れば、見返りがある建設業にしていくために、業界と行政がベクトルを合わせ、労働環境の整備を行うべきです。
 私たちが子どものころは、重機を見ると、「かっこいい」と思ったものです。子どもは重機が大好きです。現場見学会などと並行して、現場が人々の生活の中に溶け込む努力も必要でしょう。
 建設業の役割は重要です。企業は施工能力を維持し、地域や住民のために、業界と行政が「粛々と、地道にやるべきことをやる」ということに尽きます。