2014年3月26日

寄稿・滋賀大学経済学部准教授 柴山桂太氏/公共投資で産業の多様性取り戻せ

 
安倍政権発足から1年以上経過しましたがアベノミクスのいわゆる『3本の矢』について、第1の矢である金融緩和政策は順調に来ています。しかし第2の矢となる大規模な公共投資による財政政策、第3矢の民間投資を喚起する成長戦略についてはまだ機能していないというのが率直な感想です。

 危惧されるのは、安倍首相が成長戦略の名のもとにグローバル経済推進へと舵を切るのではということ。かつて米国はレーガノミクスで金融緩和と自由化を推し進めた結果、国内における格差を広げてしまった。このままだと日本でも同じことが起こりうる。つまり所得と地域間の格差がさらに拡大していくと私は見ています。
 昨年は講演で北海道や北陸、中四国など各地に足を運びましたが、地方社会が今置かれている厳しい現実を目の当たりにしました。人口が減り続ける限り地方の2次、3次産業は一層厳しい立場に追い込まれていく。雇用のない地方から人口が流出し、東京への一極集中に歯止めがかからなくなります。
 生態系同様に国土にもヒエラルキーがあります。今は頂点にある東京だけが肥大化し土台である地方が急速に崩壊している。逆に言えば都市が持続し続けるために、地方が元気でなければならない。持続的な都市の発展には、健全な地方社会が必要なのです。ですが衰退した地方の課題を地域単独で解決することはもはや不可能。人口分散や産業育成といった課題に、国家レベルで取り組むほかに解決の道はありません。リダンダンシー(代替性)確保の点からも地方と中央が緊密に連携し、政府主導のもと人口分散を進めるべきです。
 そして産業の多様性を取り戻すには地域経済を下支えする社会資本整備が不可欠。インフラの整備や維持管理を担っている建設業の役割は大変重要です。私がお会いした建設業の方はみな勉強熱心だし、地域のリーダーとして活躍しておられる方も少なくない。国土の7割が山林に覆われ、土木なしに国づくりできないわが国においてこれからも必要な存在です。