2013年4月9日

夏からリスクマネジメント開始 レジ懇が省庁・自治体に調査

5月末までに各省庁・自治体に報告を求める脆弱性評価で活用する目標
内閣官房の「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」(座長・藤井聡内閣官房参与、京大大学院工学研究科教授)が、国土の強靱化に向けた今後の作業の進め方を提示した。各省庁・自治体に「弱点」と対策を聞き、対応策を考える。当面は、2014年度予算概算要求に向けた予備的調査となるが、今夏以降には欧米で実施されているような国家のリスクマネジメントが本格的に始まる。

3日に開かれた第3回レジ懇
懇談会では、「国土の強靱化(ナショナル・レジリエンス)に向けた考え方」で、低頻度大規模災害に備えるため、防災の範囲を超えた国土政策・産業政策も含めた総合的な対応を「国家百年の大計」として進める考えを明示。国土強靱化の大目標として「人命を守る」「行政・経済社会を維持する重要な機能が致命傷を負わない」「財産施設などに対する被害のできる限りの低減、被害拡大の防止」「迅速な復旧・回復」を掲げた。いかなる事態が発生しても機能不全に陥らない経済社会のシステムを確保することで、わが国の競争力も向上し、国際的な信頼を獲得する。
 こうした目標達成に向けた取り組み方針では、国家が抱えるリスクに自然災害だけでなく、大規模事故、テロなどあらゆるものが含まれるという認識を明確にした上で、当面は「大規模な自然災害」を対象とすることを示した。あらゆるリスクに対応できる国づくりを理念としつつ、まずは「低頻度大規模災害」というリスクへの対応を考えるという意味だ。
 この基本的考え方を踏まえ、これから国土強靱化に向けた具体的な作業が始まる。

◇目標提示から対応策評価がサイクル

 「レジリエンス」確保のためには、あらゆるリスクに対する現在の抵抗力・回復力を確認するという作業が必要になる。このため、地震や火山爆発など国家を脅かす「リスク」を特定し、強靱化で達成する目標を示す。さらに、住宅や道路、経済、食料などリスクによって国家が脅かされた場合に国民生活や国民経済への影響が大きい分野について、リスクが発生した際のシナリオと影響を分析、目標に照らして各分野の現状の「弱さ(脆弱性)」を評価する。その弱い原因を分析した上で、克服するための課題と対応方策を検討する。さらに、課題解決に向けた対応方策の重点化、優先順位付けをして、計画的に対応策を実施する。そこに社会資本整備が含まれる可能性は高い。対応策を実施した結果は評価し、その後の対応策に反映するというサイクルになる。
 この流れがナショナル・レジリエンスの基本的流れだ。だが、この流れを実行するためには、強靱化で目指すべき目標を明示する必要があり、評価には相当な時間が必要になる。さらに、強靱化の目標の前提となる法律がまだ整備されていない。基本的な流れに沿った本格的な作業は、今夏以降になる見通しだ。

◇起こしてはならない事態の対応

 一方で、14年度予算概算要求に反映するためには、5月末までに何らかのアクションを起こす必要がある。このため、5月末までに「当面の対応」をまとめる考えだ。そのため、各府省・自治体に意向調査する。8日の週に開く「国土強靱化の推進に関する関係府省庁連絡会議」(議長・古屋圭司国土強靱化担当相)で調査の考え方を正式に決定し、作業を始める。
 当面の対応のための調査は、本格的な脆弱性評価の予備的調査という位置付けで、各府省・自治体には強靱化による目標(=図)を縦軸、住宅や経済などの分野を横軸にしたマトリックス表を送付する。各府省は、低頻度大災害が発生した場合に「起こしてはならない」事態をマトリックス表に列挙する。列挙した「起こしてはならない」事態への対応など強靱化の目標達成に向けて実施している施策・事業も挙げ、その目標と達成状況も可能な範囲で報告を求める。施策・事業の課題やその改善策、今後導入すべき方策についても報告を求め、マトリックスに当てはまらない観点での施策も記載できるようにする。
 例えば、「迅速な復旧・回復」の目標に対しては、「救援・道路啓開を実施する地域建設業がいない」という「起こしてはならない」事態があり、そのために実施している事業・施策を国土交通省が示すというイメージだ。
 地方自治体には、目標に対する弱さの自治体としての分析・検討結果、マトリックス表に合う自治体の取り組み、必要と考えている国の施策・事業、課題を聞く。
 各府省・自治体が示したマトリックス表を基に、「プログラム評価」の手法で脆弱な部分を明らかにし、14年度予算概算要求に盛り込むべき必要な対応策を固める考え。
 3日の会合では、当面の対応に向けた調査に対して『モグラたたき的』との批判もあったものの、藤井座長は「今回の予備的調査では網羅的な対応策をまとめるのは難しいかも知れないが、まずはこれでやってみて、重要な点の漏れが少なくなるようにしたい」とした。