2013年4月25日

寄稿・内閣官房国土強靱化推進室 米国のレジリエンス

国家インフラ防護計画策定におけるリスクマネジメントの考え方

米国においては、重要インフラの保護に関する計画・体制を大統領令などに基づき整備してきているが、2005年のハリケーン・カトリーナの被害などを踏まえ、適宜、改定が行われている。
 テロや自然災害などに対する準備策を最も効率的かつ効果的に強化するための指針である「国家準備目標」(National Preparedness Goal)は、ハリケーン・カトリーナを受けて、緊急事態管理計画と避難などの市民防護能力の強化を国家的優先事項に追加することや全ての危機を強調することなど、ハリケーン・カトリーナによる災害の教訓を反映させている。また、その目標の下に、米国内で発生するあらゆる緊急事態に対して、連邦政府や州政府、地方自治体、NGOなどが効率的かつ効果的に対応できるように構築された危機管理の標準形を示す「国家危機管理システム」(National Incide-nt Management System)も、これまでの「軽減」だけでなく「リスク削減」を重視し、水害を意識した記述を追加したり、複数省庁間調整システムを新たに設定するなどの改定が行われている。

◇インフラ防護計画に強靱性向上規定

 重要な国家インフラを保護するためのリスクマネジメントの枠組みについて定めた計画である国家インフラ防護計画(National Infrastructure Protection Plan)では、重要インフラとして米国にとってきわめて重要なシステムもしくは資産である、農業・食糧、防衛施設、エネルギー、医療、国家モニュメント、金融、水道、化学産業、商業施設、重要製造業(09年追加)、ダム(治水)、警察・消防、原子力、情報技術、通信、交通・物流、政府機能の18分野が指定されており、テロリズムとその他の脅威(自然災害、人為的事故など)に関する理解と情報共有の推進、重要インフラの防護対策、強靱性向上策について情報共有と実施に必要な協力体制の確立、長期的なリスクマネジメントプログラムの実施などについて規定されている。また、国家インフラ防護計画の枠組みを、重要インフラの各分野の特性やリスク環境に適用するため、重要インフラの分野別に「分野別計画」(The Sector-Specific Plans)を策定している。

◇オバマ大統領が強化指示

 13年2月12日にはオバマ大統領より重要インフラの安全性と「レジリエンス」を強化するため、新たな指示(President-ial Policy Directive-Critical Infrastru-cture Security and Resilience)が出された。その中で、連邦政府各省の連携と役割分担を明確化、連邦政府での効率的な情報共有などが指示され、本指示を実行するため、現行の官民連携モデルを評価し、連携強化に向けた検討をすること(150日以内)や国家重要インフラ防護計画を改定すること(240日以内)などを早急に実施することとされている。また、同日のオバマ大統領の一般教書演説(State of the Union)においては、インフラ関連で、老朽化した橋梁などのインフラの修繕を第一(Fix-It-First)とするプログラムの提案、港湾やパイプラインなどのインフラをアップグレードするために民間資金を活用することとし、そのための官民連携ファンド(Par-tnership to Rebuild America)により投資を国内に向けること、そして、これらの施策で雇用の拡大・創出を支援することが述べられている。

◇国家のリスク・マネジメントの基本

 このように、英国、米国においては、災害をもたらす外力からの「防護」にとどまらず、国や地域の経済社会に関わる幅広い分野を対象にして、経済社会のシステム全体の「抵抗力」「回復力」を確保することを目的として、強靱化の取り組みが進められてきており、国家のリスク・マネジメントの基本となっているところである。
(内閣官房国土強靱化推進室)