2013年3月26日

夏から施設の脆弱性評価開始 ナショナル・レジリエンス懇


 内閣官房は22日、「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」(座長・藤井聡内閣官房参与、京大大学院工学研究科教授)の第2回会合を開いた。事務局側は、2014年度予算概算要求に向け、施設や機能の脆弱性の評価を今夏から始めたいとの考えを示した。当面、低頻度・超巨大な自然災害をリスクの対象に限定した上で、国土強靱化基本法の成立が前提。関係省が所管分野について脆弱(ぜいじゃく)性評価と対応の方向性を検討する。

◇レジリエンス戦略の基本

 事務局側は、今後の進め方として、14年度予算概算要求に向けて早急な作業が必要なことから、当面は強靱化を考える対象のリスクを地震・津波や火山噴火など低頻度・超巨大自然災害に絞る考えを提示した。
 この方針について、「5月まで急ぐのは分かるが、できることの議論の前に、施設の老朽化や人的災害などさまざまな災害に対して『レジリエンス戦略』を作るという基本的な部分を打ち出すべきではないか。その中で、低頻度・超巨大な地震・津波についての脆弱性を対象とするとした方が良いのではないか」(金谷年展東工大ソリューション研究機構特任教授)と、全体像の提示を求める声が上がった。
 これに対して藤井座長は「5月までの短期の作業と、長期の作業がある」とし、低頻度・超巨大自然災害以外は今後、今後の検討課題とした。

◇石油備蓄は調達まで考えるべき

 また、「エネルギー分野の強靱化では、石油備蓄だけ考えても備蓄基地の耐震化が短期的には重要だが、流通、調達、資源外交まで全体を網羅した強靱化が必要」(柏木孝夫東京大特任教授)、「避難所に水を運ぶことを考えただけでも、港、道路などの問題もあり、多数の人には配れない。避難所に井戸を掘るなど自主調達が必要になるだろう。事象の発生から捉えて分野横断的な議論が必要」(尾崎正直高知県知事)と脆弱性を評価する際の留意事項についての意見が出た。脆弱性評価の指針は、4月3日の次回に提示する予定だ。
 藤井座長の「脆弱性評価を各省庁に当たって、依頼すべき視点はないか」との提起には、各委員から「水と食料の視点が抜けている」「政府機能、自治体の機能そのもののレジリエンスも考えるべき」「災害時の傷病者医療の方法も重要な視点だ。地域で災害時に自活できる方策も考えてほしい」などの意見が出た。

◇坂村健氏はICT面で意見

 このほか、坂村健東大情報学環ユビキタス情報基盤センター長が「防災・減災とICT」について意見を提示。情報通信分野での災害対応について「課題と対応が技術面に偏っている。制度と技術を合わせて考えなければならない。緊急時に通信技術などをどう使うかという緊急時の制度設計が必要」とした上で、「衛星やサービス、回線など各レイヤ(階層)を意識した議論が必要だ。さらに、平常時、災害時、対策時など各フェーズ(段階)への意識も重要」と指摘した。その上で、「システムを平時と有事のどちらでも使えるように設計しなければならない」と、災害時にも使える汎用基盤の重要性を訴えた。