2013年3月21日

最悪170兆円の経済損失 建設業も最大2.7兆円 中央防災会議の南海トラフ地震試算

政府の中央防災会議は18日、「南海トラフ巨大地震の被害想定(第2次報告)」をまとめた。巨大地震による民間の建物・資産、電気・ガス・通信・鉄道といった準公共、上下水道や交通など公共の経済的損失額を初めて公表した。東海地方沖で発生したという最悪のシナリオで経済損失を169兆5000億円と試算。ただし、建物の耐震化を100%(現在の耐震化率は79%)にするなど減災対策をすると、被害額は80兆4000億円と半減する試算も同時に公表した。日本のGDP(国内総生産)の3分の1に相当する経済損失額試算が示されたことで、防災・減災取り組み加速への圧力が強まるのは確実だ。
 今回の経済損失額試算は、中央防災会議防災対策推進会議の「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」(主査・河田惠昭関西大教授)が、建物被害・人的被害推計をまとめた昨年8月の被害想定第1次報告に次ぐ第2弾。
 民間が保有する施設・資産や公共施設などが被害を受けた場合の施設やライフラインなどの被害を、部門ごとや都道府県ごとにそれぞれ試算したほか、生産・サービス低下による影響、道路・鉄道など交通寸断による影響などを、被害程度を「中程度」の基本ケースと、「最大被害」の陸側ケースに分けてまとめた。
 また、追加として、四国沖で発生し昨年8月の被害想定48ケースで最も被害が最小だった「被害最小ケース」で推計した経済的損失額は、民間・準公共・公共合わせて81.8兆円とした。
 具体的には、経済的損失額を、基本ケースで約97.6兆円、陸側ケースで約169.5兆円と試算した。中央防災会議では2003年に、東海・東南海・南海地震の経済損失額を約60兆円と推計しており今回、経済的損失額を大幅に増加させる修正をした。
 また、南海トラフ巨大地震による、生産・サービス低下の影響試算では、基本ケースで各産業が受ける被害額は30.2兆円、陸側ケースでは44.7兆円と、被害は480兆円のGDPの約1割に上ると推計した。このうち、建設業も、基本ケースで1.6兆円、陸側ケースでは2.7兆円の被害を受けると試算している。
 一方、耐震化や火災対策といった防災・減災対策をした場合の効果推計も行った。試算仮定として、▽建物の耐震化率100%▽急傾斜地崩壊危険個所の対策整備率100%▽電熱器具からの出火を防止する感震ブレーカー設置率100%▽初期消火成功率向上--を満たした場合、経済的損失は陸側ケースで、対策なしと比べ52.6%と半分に抑えられるとした。
 大規模災害による経済的損失額は、阪神・淡路大震災が約9.6兆円、東日本大震災が約16.9兆円(いずれも実績)、また首都直下地震も05年想定で約67兆円と試算していた。
 今後、南海トラフ巨大地震に対する防災・減災対策については、最終報告で、主な防災・減災対策や被害の最小化、早期回復のあり方について整理する。