2013年2月25日

篠塚研究所/効率よく広い視点から災害対策/情報共有へプラットフォーム構築

東日本大震災では、広範囲にわたってライフラインや物流関連施設が破壊され、サプライチェーンの寸断による混乱が長く続いた。都市防災の観点から構造物の地震リスクマネジメント(SRM)を手掛ける篠塚研究所(東京都新宿区)は、複雑に関連するシステムに注意を払ってこなかったことに混乱の原因があるとし、地震リスク診断により得られる施設ごとの情報を共有するプラットフォームづくりを提言している。村角保行社長と中村孝明取締役に情報プラットフォーム構築に向けた取り組みを聞いた。

 震災によるサプライチェーンの混乱は、港湾、道路、鉄道など交通インフラの寸断に加え、物流施設や特定の部品工場の操業停止がより影響を増大させたケースが目立った。
 「地震被害に備えて企業が工場など保有施設の耐震化を進めても、ライフラインが途絶え、道路や港湾が使えなくなるなど、企業努力が及ばないところで事業ストップを余儀なくされた」。村角社長は、現状では高度なネットワークを前提とした防災対策がとれないことに問題があると指摘する。
 その上で「個別の防災対策だけでは限界があることが分かった。これを教訓に制度を変えることを提案したい」と、篠塚研究所として総合的な防災対策がとれるシステムづくりに取り組む考えを示す。
 それが、地震リスク診断で得られた情報を共有する「プラットフォーム」の構築だ。事業所や工場、物流拠点などの民間施設から、鉄道や道路、港湾、空港、電力、情報通信システムなどの社会基盤に至るまで、大地震が発生した際に予想される被害や事業停止期間、または復旧曲線を推計し互いに共有することで、効率的で広い視点を持った災害対策が実現できる。
 「組織ごと、施設ごとにクローズされた情報はあるが、他の情報とまったくリンクしていなかった。横ぐしを通せばよりよい情報が得られることは分かっている」(村角社長)。
 情報が公開されれば、施設ごとの比較が可能となる。例えば、ある港の復旧が他の港より遅い場合は、事業者から復旧を早めるよう要望ができるようになる。中村取締役は「多くの人の意見を聞けば、安全性能の目標値が見えてくる」とさらなるメリットを挙げる。
 情報プラットフォームは、官・民だけでなく民・民の関係においても重要な役割を担う。「一つしかない外注先が震災でストップする可能性がある場合、プラットフォームの中から他の外注先を探すことができ、リスク分散が図られる」(中村取締役)。
 プラットフォームの範囲は都道府県単位を想定している。「都道府県単位で管理した情報プラットフォームがあれば、国はそれを統括する役割を担えばいい」(同)。広域の情報が必要な場合は、それぞれの都道府県に問い合わせることで、有効な対策が立てられる。
 「多様化する社会では、リスクも多様化し、日々変化している。社会の変容に応えるリスクマネジメントでなければならない。従来型を踏襲していてはだめだと常に考えている」(村角社長)。今後は、国や地方自治体に対して企業の地震リスク診断の必要性を訴えるとともに、プラットフォーム構築に向けた技術支援を進める。